【谷藤さんBLOG更新】35 MOOD 2025 November
A.D.M.J.のカタログのスタイリングも手掛ける人気スタイリストである谷藤知可子さん。
谷藤さんに気になるバッグを毎月ひとつピックアップしていただき、そのバッグに合わせた
おすすめコーディネートをご提案いただく人気企画です。ぜひおしゃれの参考にしてみてください。
今回ご紹介させていただくのは、「スエードプラス/バケットトートS」。
こちらのバッグに使用されているのは、シューズ素材をメインに扱うメーカーの
マイクロファイバー、スエードプラスというマテリアル。
トレッキングやスポーツシーンなど、耐久性が求められるシューズのために開発された素材で
軽くて汚れにくく、丈夫さが魅力なんです。
さらに通気性もあるため、湿気の多い日本にもぴったりなのだそうですよ。
最近は、機能性が高く、レザー見えするさまざまな素材があり、
自分の求める優先順位や用途によってセレクトの幅が広がっていいですよね。
ハンドルの長さも細かく調整できるので、肩から掛けたり手持ちにしたりと
気分によって変えられるのもうれしいポイントです。

スエードプラス/バケットトートS
MORO(モロ) ¥66,000
かつて使い込んだ経験のあるバケットバッグ!ひとまわり小さいサイズ感が今の気分
学生の頃、こちらよりも少し大きめサイズのバケットバッグを気に入ってよく使っていました。
当時はバケツ型なんて呼んでいましたよね。
教科書やらノートやら、荷物がたくさん入ってとても便利だったバケツ型のバッグ。
かなり使い込んでも形が崩れず、ちょっと飽きてからも実家に置いて
またいつか使おうと大切に取っておきました。
そんな風に思えるほど、バケットバックの形は普遍的。
でも数年経って、また使いたいと思った時には
保管の仕方が悪かったためか、中の素材の劣化が進んでいて処分することに。
外側はいい具合に使い込んだ感じが素敵だったのに…。
とても残念な気持ちになりました。
そのバッグがまだ現役だった頃
古着屋で購入したデニムのオーバーオールの上に
これも古着屋で購入したイギリスの子ども用のツイードジャケットを着て
多分当時読んでいた“anan”からの影響大と思われるコーディネートに
よくこのバケツ型のバッグを持っていた記憶があります。
そのツィードのジャケットを父が珍しくとても褒めてくれました。
田舎のおじさんにしてはちょっとおしゃれだった父。
そんな父とはこんなエピソードも。
銀座の英国屋で黒のカシミアのタートルセーターを買って送るようにと連絡があり
銀座なんてまったく無縁だった学生時代。
なんとか英国屋に辿り着いたけれど、とても敷居が高そうで。
その時は残念ながら黒のカシミアタートルはなく
公衆電話から連絡して事情を説明すると、紺のクルーネックで我慢してくれるということに笑。
お店の方が丁寧に接客してくれたのがうれしくて。
私は多分この時はじめてカシミアの存在を知ったはず。
そしてすぐにそのカシミアのセーターに酔っ払ってタバコで穴をあけた父。
でもちゃんとお直しして大切に着ていました。
このセーターまだ実家にある、そしてまだ着られます。
どこかノスタルジックな印象のスタイルに合わせて……
そんなバケットバッグによって呼び起こされた昔の記憶に浸りながら
手持ちの服の中から、こちらのバッグに合いそうなコーディネートを考えました。


STYLIST:CHIKAKO TANIFUJI
スタイリストとして、ファッション誌や広告を中心に活躍する。
トラッドをベースに、ガーリーとパンクを織り交ぜたスタイリングが得意。
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